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阿部 浩之; 前川 雅樹; Zhou, K.*; 河裾 厚男
no journal, ,
近年、電子のスピンを利用した新たなデバイスの創生を目指して、スピントロニクス材料の研究が進められている。スピン偏極陽電子消滅測定法は、材料中の余剰スピンを検出することができる手法である。これは、陽電子と電子がスピン偏極している場合、消滅線のドップラー拡がり測定で得られる電子運動量分布がスピン反転に対して非対称性を示すことを利用している。スピントロニクス材料研究で重要視される薄膜材料の評価を行うために、我々はスピン偏極陽電子ビーム開発を進めている。本研究では、このスピン偏極陽電子ビームを用いて、酸化亜鉛(ZnO)の空孔誘起強磁性の検出を試みた。100keV酸素イオン照射により、表面近傍に空孔型欠陥を導入し、正負磁場中において、消滅線のドップラー拡がりスペクトルを観測した。その結果、磁場反転に対してスペクトル強度が変化することを見出した。これは、陽電子と消滅する電子がスピン偏極しており、磁場によってその向きを変えることを示している。